今回のトピックは少し変わり種。
アメリカのドラマで”Nagasaki”という単語が「ぶっつぶす」という意味合いで使われていたそうです。それを報じたニュースを見た感想です。
ニュース記事
「ナガサキする」意味は「破壊する」(西日本新聞)
一文で要約すると、こうです。
- 米国人気ドラマの「THIS IS US」の中で"Nagasaki"という言葉が「ぶっつぶす」という意味で使われた。
実際にドラマの中で使われていたとされるフレーズがこちら。
「If you do, I'll be forced to Nagasaki your life and career.(もし降りるなら、君のキャリアを徹底的につぶすしかない)」
「I Nagasak'd him.(私がつぶした)」
そして、同じく西日本新聞の関連記事。
こちらの記事は”Nagasaki”という単語が使われた理由を解説しています。
Urban Dictionary
前項2つ目のリンク先で紹介されているUrban Dictionaryについて。このサイトはぼくも見たことがあります。勉強中に例文を検索していると、たまに表示されるんですね。でもここの表現って、初心者のぼくにもわかるくらい汚い言葉が使われているので、参考にすることはありませんでした。
Urban Dictionary
このサイトはユーザ投稿型のサイトで、ユーザが「こういうスラングがある」と投稿し、他のユーザが”Good”,”Bad”のボタンを押して評価する仕組みになっています。
Urban Dictionary("Nagasaki"で検索したページ)
西日本新聞社が記事中で言及していた電子レンジのスラングもここに載っていました。
Nagasaki :訳:電子レンジを使ったけど、十分に温まらなかったと気づいた後で、もう一回チンすること。
To microwave something for the second time, after realizing it wasn't microwaved enough.
1回目のチンじゃ十分な結果を得られなかったので、もう一回チンする。広島→長崎と立て続けに原爆を投下し、目的を達成したことと紐づけて、二度目のトライ、ダメ押しの一発をNagasakiと表現しているのでしょう。
仮に、ですけど、逆の立場だったらどんな言葉になるんだろうかと考えてみました。
日本のドラマや映画で黒幕的な悪い奴が「パール(急襲)しちまえ」って言う感じですかね。
うーん、うーん、無いですね。中高生が使うならいざ知らず、ドラマや映画でそんなセリフを吐くってのはイメージしにくい。
正直いうと「”Nagasaki"=二度目のチン」は、感情的には「それダメなやつ」と思う一方で、少しだけ「うまいこと言うな」とも思っています。
本エントリを書いている時点では「二度目のチン」の投稿には33件の評価がついていて、”Good”が26件、”Bad”が7件となっています。他の露骨に汚い意味として投稿されているスラングには、けっこうしっかり”Bad”評価がついています。ホントにヤバいスラングにはきちんと”Bad”評価がつくWebサイトとみることもできます。
Nagasakiの是非
”Nagasaki”という言葉が「ぶっつぶす」という意味で用いられることは、やはり良いことだとは思えないですね。なんかちょっと感情的に「ダメでしょ、それ」と思う自分がいます。ようやくトルコの方々の気持ちが理解できたような気がします。
ただ一方で、”Nagasaki”という言葉に「ぶっつぶす」とか「二度目のチン」という意味が含まれる、これが理解される世の中ならば、アメリカで原爆についての教育が為されているってことの証明だとも思います。
ほら、芸能界の人たちも言うじゃないですか、『「あいつはツマラン」と言われているうちはまだよくて、ほんとにどうでもいい人のことは話題にすら上がらない』って。
良い話ではないですけど、”Nagasaki”が通じて、しかもそれが「二度目のチン」ってことで解釈されてるんだったら「俺らのご先祖様は広島→長崎という順番でなんかすげぇ爆弾を投下した」という歴史が現代にもきちんと生きている、と言えるような気もします。
ちょっと目線を変えて、ぼくら日本人も英語をオモチャにしている面があるってことも考えてみましょうか。
別に悪意があるわけじゃないでしょうけど、日本人はlaptopをnote PCと言ったり、complaintをclaim(クレーム)と言ったりしています。”美しく伝統的な英語を守る会”というのがあったとして、その人たちから見た場合、ぼくら日本人は平気で英語をぶっ壊そうと企む不埒な輩とみえることでしょう。
だから、なんというか悪意をもった言い方じゃなければいいんじゃないの、と思っています。さすがに”Nagasaki”=「ぶっつぶす」は悪意があるか、無知なのか、アホなのかと感じてしまいますが、電子レンジの話は、有りよりの無しって気がします。
そんな感想をぼくは抱きました。
言葉の変化
このエントリで書きたかったことは、”Nagasaki”が良いか悪いかって話じゃないんです。ぼくの記憶にないってだけの話かもしれませんが、初めて外国語の変化を目の当たりにしたってことで、このエントリを書こうと思ったんです。
「日本語は時代と共に変化する」って話は何度か聞いたことがあって、毎年新しい言葉が生まれて、ほとんどは消えていき、ごく一部の便利な言葉だったり、感情に刺さる言葉だけが生き残る。そしてこれを長いスパンでみると、ゆっくりと現代語が変化していっているように見える。
これって日本語だけの特徴かと思っていました。ほら、誰が持ってくるのか知りませんけど、頻繁に新しい横文字が流行って、和製英語がいっぱいできあがるじゃないですか。こんな感じの。
横文字だけじゃなくて、日本語自体が変化するのも毎年のようにありますよね。
で、これって実は日本語だけじゃなくて、英語でも起こることなんだ、と初めて認識したんです。英語ってわりと文法にうるさいとか、言語に対して厳格なイメージがあったんですね。日本語は末尾に動詞(か形容詞)さえくれば後はどんな順番でもオッケーと言われるくらい緩い言語です。
だから、英語にはそんなに新語は生まれてこないもんだと思い込んでいました。今回の”Nagasaki”だったり、たまたま今日別のニュースサイトで見かけた以下の記事。
ZUCCED(ザックられる)
「マーク・ザッカーバーグにやられる」という意味です。
英語圏でもこういった遊び心のある新語が生まれてんだなぁ、へー、と思いました。
Urban Dictionary : Zuccedで検索
ただこれは考えてみれば当たり前っちゃ当たり前で、スラングっていうのが正にこれですよね。ぼくはまだスラングを学ぶってレベルじゃないですが、バイリンギャルを目指す以上、いずれは勉強していかねばならぬことなんでしょう。
と、このエントリでは書きたかっただけです。
おわり
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