挫折なしで英会話ができる「英語耳」9つの法則 (アスキー新書)
英語の勉強ログとして公開している本ブログですが、たまには読書感想文でも書いてみようかと思います。いきなり本線から外れたことを書きますが、ぼく”書評”って言葉が好きじゃないんですよ。なんか”書評”って上から目線なイメージを感じるんですよね。だから読書感想文と表現します。
「お前、英語の勉強さぼったから書くネタねーんだろっ!」と言いたい方もおられるかもしれませんね。はっきりと申し上げます。「黙秘します。」
Let's get started !!!!
全体の感想
総評
よき。いとよき、です。他人様が書いた本に点数をつけるのも恐縮でござんすが、これから別の本の感想文を書くこともあろうことかと思われますゆえ、定量的な指標として点数をつけてみます。
85点/100点
書いてある内容の納得感もあるし、持ち運びしやすい新書なのも◎。減点要素は理屈に偏ってしまっているところです。ただこれは、本書冒頭で「導入本という位置づけの本を書きたかった」と書いているので、著者の意図したところになっています。
とはいえ、書籍としてみると単体ではやっぱり物足りなさがあります。著者の考える勉強法を説く入門書として見れば満点近い評価もできますが、書籍単独で見た場合は物足りなさが残ってしまいます。なので85点。
「英語耳」「単語耳」の導入本
本書は著者が書いた別の書籍「英語耳」「単語耳」の理屈部分だけを抜き出して編集された書籍です。かれこれ10年ほど前でしょうかね、ぼくは「英語耳」を読んで「スゥッ(s)」「ハァッ(h)」「ツッ(t)」って発音の練習をしてました。その記憶が残っていたので、思わずこの本を手に取ってしまったんですね。
「英語耳」って本は今でもけっこう有名な本だと思うので、その理屈となる部分だけをサクッと知りたい方には特におすすめです。新書なのでカバンに忍ばせておくだけでインテリ度合も高まります。
理屈が通ってるから身を任せられる
著者が書いている内容はシンプルです。「完全に聞き取れるようになれ。そのために発音できることが重要だ」です。この内容を本書で詳しく説明されています。でね、ぼくがこの本(と「英語耳」)を気にいっている理由は理屈が通っているからなんです。もちろんその理屈が100%ゼッタイ正しいかなんてわからないですよ。でも納得できない理屈を振りかざして教える本ってのも世の中いっぱいあるじゃないですか。ぼくは理屈で納得できないと集中できないタイプなんです。「なぜこのやり方でやるのか」を理解しないと100%集中できないんですね。
それなりに時間のかかることをやっていると、「このやり方ではたして合っているんだろうか」って不安になることあるじゃないですか。そういうときに、「自分が納得したこのやり方なら身を任せられる」と思える方法、メソッドなら続けられます。
この本はきちんと通すべき理屈を通して書いてあるので、ぼくのような理屈屋で、頭が固くて、そして融通が利かないイケメンの方には特におすすめできる本です。
読みやすい本
本書は新書の形式ですが、内容は新書っぽくないものになっています。これ、いい意味で、ですよ。文章も読みやすいし、文量もちょうどいい感じです。唯一ちょっと残念なのは、縦書きなので、英語で書いてあるところが読みにくいところですかね。これはまぁ出版関係のところで色々あったんでしょう。ちょっと残念ですが、そこは本旨ではないところなので、許容できる範囲です。「読みづらい!もーやーめたー!」とはならないので安心安全。
ビビビッときたところ
本書を読んでビビビっときたところをクリップしておきます。
なぜ挫折するのか?
①英会話の学習効率が悪い。いくらやってもキリがないやり方をしている。
②魅力的で達成可能な、納得できる目標が無い
①英会話の学習効率が悪い。いくらやってもキリがないやり方をしている。
②魅力的で達成可能な、納得できる目標が無い
たぶんこれは英語学習の永遠の課題。どこまで行ったら英語学習が終わるのか、どうやって英語力を測定するのか。これが発明される前に翻訳コンニャクみたいなものが開発されると思います。
読んでわからない文章は聞いてもわからないのです。
これは真理だと思いました。語彙と文法が足りなければ正確に意味を捉えることはできないし、それを聞いてもわかるはずがないですね。
「あるとき突然聞き取れるようになった」と言います。実はそれは、頭の中で英語を理解するスピードが、話すスピードを追い越した時期と一致します。(中略)このように学生時代にスピードに着目したことが無いので、社会人になっても英語を理解するスピードを上げるという重要な訓練がまったく見落とされたままでいます。
こういう理屈っぽい説明すきです。この理屈って体を動かす系のアクティビティ、スポーツなんかと同じなんですよね。ほら、最初は体の動きを頭の中で理解しようとするじゃないですか。それでやってみて、うまく動けない。このタイミングでもっとこうした方がいいんじゃないか、とか考えていきますよね。で、習熟してくると言語的に頭で考えなくても動けるようになる。
英語も同じで頭の中で単語と文法を使って言語的に文章を組み上げますね。こうしてる内は相手が言った内容を理解するためにこれと逆のこと、つまり言語的に相手の言った文章を分解していかなきゃならんと。そうなると、とても理解が追い付かないわけです。自分が話すスピード、相手が話すスピードを超えた速さで理解できるようになったとき、ようやく余裕が生まれて「聞けるようになった状態」に到達できるというわけです。
すべての音を均一の速度で発音する日本語では、発音する単語が長くなるとそれだけ言う時間を要しますが、英語では単語が長くなっても発音に要する時間が変わらないことがままあります。(All rightやGood morning)
ここを読んでフィリピンに短期留学していたときのことを思い出しました。発音の先生に教えてもらったんですが、音節を意識して発音をすることが重要であると。トーントーントーンって指や体でリズムをとって、その一拍の間に一つの音節を発音する。この練習をしてから、単語レベルで”ぽい発音”ができるようになりました。
辞書を引かないで英文の意味を類推するには、目にした英文全体の95%以上が既知語である必要があるとされます。
どこかで聞いたことのある話だなと思いましたが、あらためてメモっておきます。TOEICのPart7くらいの塊の文章を読んでいて「あー、無理っ!」って思うのってこのラインなんですね。
文法を学ぶとは、一言に集約すると、「英語の語順を学ぶこと」。つまり語順の感覚を身に着けることです。頭から順に英文を理解すること、と言ってもいいでしょう。英文法の真髄とは、”単語の位置にも意味がある”ということなのです。
ここは読んでいて「はっ」としたところです。日本語は動詞さえ末尾にあれば、あとはどんな語順でもオッケーって言語だといわれます。だから何だってのもあるんですが、日本語との大きな違いですね。おもしろい。
読むことと聞くこととは、実は目と耳という入力器官が違うだけで、脳内では同じ辞書が検索され、同じ語源イメージが使われ、同じ文法処理がなされています。英会話では相手のペースに合わせる必要がありますが、読書は自分のペースで行えますので、より効率的な学習ができるのです。
著者が多読を進める理由です。会話の中では何度も聞き返すってのができないシチュエーションもありますからね。自分のペースで何度聞き(読み)返しても大丈夫なリーディングをしながら鍛えていってね、というお話。
一人の話者が自分の興味ある題材で話していることを繰り返し聞いてリスニング力をどんどん高めておくと、ほかの話者の言う事も、その高めたレベルで聞き取れるのです。これをParrot効果と私は呼んでいます。
リスニング教材:ESLpod https://www.eslpod.com/
リスニング教材:ESLpod https://www.eslpod.com/
以前トライしたんですが、途中でやめちゃったんですよ、この方法。飽きちゃって。この方法を適用してみたいリスニングテーマもあるので、やってみようかな...
英語の音をすべて聞き取れるようになっても、語彙力が不足していれば意味を理解できない以上、英語耳は完全ではありません。そして語彙力が十分になっても、英文解釈のスピードが会話の速度よりも遅ければ、完全に聞き取ることはできません。
こういうことをちゃんと書いているところが好感持てるんですよ。「語彙力も理解スピードも必要なんだ」とちゃんと書いています。「一週間で出来ちゃう〇〇メソッド」とか「ラクして身につける~」とか、そういうのってぼく嫌いなんですよ。楽して身につけた知識や技術ってのは、市場価値ないですからね。泥臭く続けた結果得られる果実にこそ価値があるんだと思います。
英語の語彙には2つの系統があります。
①「本来の英語」(OE:Old English)
②「ラテン語」
日本人は、ネイティブに比べ、ラテン語系の動詞を使って英文を形作ろうとする傾向が強いようです。
①「本来の英語」(OE:Old English)
②「ラテン語」
日本人は、ネイティブに比べ、ラテン語系の動詞を使って英文を形作ろうとする傾向が強いようです。
→この話は初めて知ったのでメモしておきます。
OE系単語(have,get,give,make,take,doなど)の特徴
- 一つの単語が持つ意味がすごく多い
- 接頭辞や語根など意味を推測させる部分がスペルにない
- get-got-gottenなど不規則な変化をすることが多い
ラテン語系単語(appint,reserve,restore,installなど)の特徴
- 日本語訳とほぼ1対1の意味を持つ
- 接頭辞と語根の組み合わせになるので、単語のイメージを連想しやすい
おわりに
うん、いちいち納得させられる良い本でした。著者の提唱する学習法に加え、その根拠となる事柄が丁寧に説明してあるので、読みやすく、納得しやすい作りになっています。ぼくの部屋のどこかにある「英語耳」を10年ぶりに引っ張り出したくなりました。
おわり
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